「都市近郊林」北海道胆振民の癒しと探究の森第1章|北海道大学苫小牧研究林

更新日:2 日前

 本記事は苫小牧研究林植竹研究室長が自ら執筆した冊子IBURI DOT SITE.記事のリマスターです。全6章からなる北海道大学苫小牧研究林の今を伝えます。


〜第1章〜

苫小牧の癒しの森編

 北海道苫小牧市郊外に、私たち北海道大学が管理する森がある。バードウォッチングで遠路遥々訪れる方がいれば、苫小牧市民でも存在を知らなかったり。この森に癒されながら、探究を深め、地球の未来を考える。

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2章  3章  4章  5章  6章

10月上旬、徐々に色づく木々
10月上旬、徐々に色づく木々

苫小牧研究林

 苫小牧研究林は苫小牧市の北に広がる北海道大学が管理する研究林のひとつだ。大学の施設ではあるが、その一部は一般に開放され、近隣市民の憩いの場として、また遠方からもバードウォッチイング愛好家らが訪れる。

これより先苫小牧研究林
これより先苫小牧研究林

森のなかへ

 新千歳空港から30分。苫小牧中央インターから住宅街を抜けると、道央自動車道の鉄橋が現れる。それをくぐり、すぐ右手に見えるログハウス(コーヒーキッチンタピオ)を過ぎると、それまでの人工的な景色は一変。緑濃い深い森のなかに入り込む。左手を流れるせせらぎ(幌内川)に沿って進んでいくと、その先には『北海道大学苫小牧研究林』の木看板。ここから先約7kmが全て苫小牧研究林の土地だ。まず見えるのは一年を通して水鳥が多い『下の池』。ここは夏の初めにカモの親子が愛らしい姿を見せる人気スポット。一息ついて、さらに奥に進んでいくと研究林の管理を行う庁舎と駐車場がある。


都市近郊林

 庁舎周辺は元林長であった石城謙吉先生が、1970年代後半に『樹木園』として整備した場所である。石城先生は、都市と共存している欧州の『都市近郊林』を参考にして、林業・環境保全の機能に加えて、人々が自然と触れ合えるレクレーションの要素を組み込み、森をデザインしたのだ。大人気のシマエナガをはじめとした可愛い小鳥たちが飛び交い、キツツキの木を打つ音が森全体にこだまする。エゾリスが足元を通ったかと思うと、木々の向こうからエゾシカの親子がこちらの様子を伺う。小川には秋になるとサクラマスの成魚が海から産卵のために遡ってくる。この樹木園周辺を散策するだけで、自然の営みをぐっと身近に感じ取ることができるのだ。



森林資料館では高橋氏がお出迎え
森林資料館では高橋氏がお出迎え

森の博物館

 樹木園の中には木材や動物標本を集めた森林資料館がある。開館日は限られているが、樹齢数百年の巨大な丸太が並び、北海道にはかつてこんな巨木が生育していたのかと想像をかきたてられる。その横には動物の剥製や菌類の標本が置かれ、北海道の自然のゆたかさを知ることができる。資料館の裏手には国登録有形文化財に登録されている森林記念館が併設されている。ここには昔の研究林の様子を伝える写真や道具が置かれ、奥の1935(昭和10)年に建設された最古の建物に入ると、まるで当時にタイムスリップをしたような感覚を経験できる。





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続く〜


 


バックカントリースキーを楽しむ植竹淳
バックカントリースキーを楽しむ植竹淳

植竹 淳准教授 Jun Uetake

北海道大学

北方生物圏フィールド科学センター

苫小牧研究林 植竹研究室室長


研究テーマ

微生物群集による物質循環と地球環境変動


キーワード

微生物生態学・環境DNA・地球科学・環境変動・バイオエアロゾル・氷河・氷晶核形成


著書

雪と氷の世界を旅して: 氷河の微生物から環境変動を探る (フィールドの生物学)

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メッセージ

目には見えない微生物は土壌や河川はもちろんのこと、空気や積雪といった一見生き物のいなそうな環境にも生息しています。野外でのフィールドワーク&ラボでの遺伝子実験や 化学分析を通じて、このような微生物群集がどのように分布し相互作用することで、環境中の物質循環に影響を与えているのかを明らかに していきます。またある種の微生物は存在するだけで地球環境を変化させる可能性があります。例えば、1:細胞が核となって雲の形成を 促進し、太陽光の放射バランスを変えている微生物、2:氷河の上で色素を生成し、温暖化による氷河の融解を促進させる微生物などがおり、地球科学や気象学といった様々な分野の研究者たちと共同して地球規模でのテーマにも取り組んでいます。

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